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修行の先に見付けたもの 独り言(16)

 毎日ゴルフスイングを追いかけていると、自分が分からなくなる。

 現実とイリュージョンの境界線上にあるようなゴルフスイングの世界では、自分をしっかりと持たなければ他の人の闇夜の世界で、私自身が迷ってしまうことになるからだ。

 ただ時折深い闇夜に迷い込む。それは自分の弱さや優しさによって巻き起こされる。どこかで切り替えなければならない。そんな時に私は海を見る。頭がリフレッシュするのと同時に整理されるからだ。

 

 波は一つとして同じ波はない。ゴルフのショットと同じである。私はその事に気付くのに30年かかった。

 

 幼少期の私は機械のように「毎回同じ精度のショットを何度も繰り返し打てるようになる」ために30年以上毎日必死に練習してきた。それが上手いゴルファーになるには必須だと思っていたからだ。理系の人間で特に機械やロボットを触れる機会が多い人間は、その様に考える傾向が強いかもしれない。

 現在の私は「一発勝負に強いスイングする」ことにこだわりを持つようになった。考え方(価値観)が変わった理由は「同じショットは一生で二度と打てない」ことに気づいたからだ。

 

 「打ち方が変わった」というより「心意気が変わった」といっていい。その心意気に気付くのに30年かかったのだ。この変化は私の指導内容も大きく変えた。

 

 心意気が変われば「時間は無限ではない」ことがよく分かった。だからこそ、私がこれまでに体得してきた「本当に効果的で上達して頂ける事」以外はお伝えしないように心がけている。時に心を鬼にして厳しい事もお伝えするようになった。指導内容は10年前から変わっていないが、心意気的には過去の弱い私には出来ない指導となってきたのだ。

 日々努力を継続するうちに人生が大きく変化するのは私も貴方も変わらないのかもしれない。